2015年12月29日

The President

今日、『独裁者と小さな孫』を見て来た。
主な感想はTwitterに書いちゃったんで、ここには他のことなど。
※ツィートはこちら↓
https://twitter.com/dora3log/status/681752763227746304
https://twitter.com/dora3log/status/681754201068732418
https://twitter.com/dora3log/status/681755777921490945

まずは、冒頭の独裁者と孫が町中の明かりをつけたり消したりして遊ぶ場面。
なんか周の幽王と褒姒みたいだった。その後の展開も含めて。
ラストの方で孫が、町中の明かりを消したせいで皆何も見えなくなったから革命が起きたんだと言うんだけど、それが自分の無邪気な遊び心のせいだと分かっているのかどうか。
まぁ、子供に罪はないんだけどさ。

で、子供といえば、孫の遊び相手だった女の子は、どうなったのだろう?
孫は本当にその子のことが好きだったようだけど、周囲の大人達からしてみれば彼女は独裁者の孫にあてがわれた玩具の一つに過ぎないわけで。
家族と一緒に、どこかへ逃げたんなら良いけどねぇ。
しかし、その女の子と独裁者と関係のあった娼婦の名前が同じ「マリア」ってのは、わざとだろうね、多分。

それから、この作品、登場人物達に名前がない。
前述のマリアも娼婦の方は本名かどうか分からないし、そもそも主人公である独裁者と孫の名前も分からないのだ。
「大統領」とか「殿下」とかで通っちゃってるから。
一応、独裁者の方は「ダチ」(だったはず)とかいう名前、もしくは愛称が出てきたけども(ちなみに「ダチ」は孫役の役者さんの名前で、逃亡中の孫の仮の名前にもなっている)
だいたい、国の名前も不明だしね。
どうやらジョージア語で喋ってるようなので、なんとなく旧ソ連の国なのかなぁと思う程度。
じゃ、リアリティはないのかというと全くの逆なのはツィートした通り。
だからこそ、最後のファンタジーが希望に思えるわけだ。

逃亡中、独裁者は自分の内心を口にはしない。
海に向かう途中で出会った元政治犯達が自分の息子夫婦を殺害したグループの一員だと知った際に殴り掛りたい衝動を抑えたことや、村人達に捕まっても抵抗しなかったことを考えると、自分がしてきたことを後悔してるのかなって思うけど。
孫の命乞いもしなかったしね。
もし、彼が本当に改心するとしたら、それは村人達が理想主義者の言葉に従った場合だけだよね。
憎悪の連鎖は断ち切れるのか?
断ち切れない現実を監督は百も承知で問うている。
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2015年10月08日

Im Labyrinth des Schweigens

昨日、「顔のないヒトラーたち」を見て来た。
1963年のアウシュビッツ裁判に至るまでの実話を基にした話だ。
ナチスによる凄惨な行為が描かれる場面は無かったけど(ほんの少しだけ主人公が夢で見る程度)、被害者達の証言だけでも十二分に残虐さが伝わってきた。
PG12なのは、主人公のセックス場面があるからではなく、こちらが原因なんじゃないかと思うくらいにね。

しかし、1950年代後半までドイツの殆どの人達がアウシュビッツを知らなかったとは驚いた。
知っている人達も、あからさまに無かったことにしてたし。
戦争が終わって、復興が進んで、経済は上向きで、戦争を知らない世代も増えてきて。
主人公の若い検事も、終戦当時はまだ子供だった世代だしね。
これから明るい未来がやってくるって時に、過去の暗い歴史と向き合うってのは、まぁ、嫌だわな。
なんで今更・・・って、そりゃ思うわ。
だからこそ、自国の罪を認めて自国民で裁いてこそ真の誇りを取り戻せると決断し、嫌がらせにも屈しなかった主人公達には頭が下がるし、映画が終わった後、映画館のロビーでご年輩の男性が呟いた「日本にこれほどの事が出来るか」という言葉が印象に残った。

ところで、原題はタイトルに書いた通り「沈黙の迷宮の中で」なんだけど、これは邦題の方がしっくりくると私は思う。
本当にアウシュビッツで行われたことは同じ人間かと思うほど残忍なことばかりなんだけど、もし、私がナチスの一員としてその場にいなたら、同じことをするか、そのまま黙って見てるかのどちらかだろうって容易に想像できるから。
所謂、悪の汎用さ・・・と言い切っちゃうのは、ちょっと自信ないな。使い方、間違ってるかも。
ただ、本作を見る前に「ハンナ・アーレント」を見ておくと、より理解が深まるのは確かかと。
どちらもオススメです。特に、今、ね。
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2015年09月21日

Clowns Laughing At You

「ピエロがお前を嘲笑う」を見て来た。
どんでん返しのどんでん返しが売りのようなんだけど、私は最初のどんでん返しで嘘だと直感してしまったせいで今いち楽しめなかった。
タネに気付いちゃったら、手品の楽しみは半減するね。

サスペンスってことなんだけど、私は青春ものじゃないかと思った。
気弱で冴えない主人公には実はとんでもない才能があって、その才能を認めてくれた仲間達と一緒に国を相手に大騒動を起こし、最後はその仲間達と一緒に母国から旅立つっていう。
だから、あの後、主人公達がどうなったかを考えるのは野暮なんだろうな。
どう考えても碌な未来が見えないんだけど…。

どーでもいーけど、気になったポイント。
作中で主人公がクイズに答えるんだけど、その答えが「オットマール・ヒッツフェルト」だったのね。
これ、どういう質問だったんだろう?
当たるとポルシェがもらえるという、かなり凄いクイズだったんで、相当難しい質問だったんじゃないかと思うんだけど。
練習場でファンからキノコを貰った監督とか?
CMでバイエルンが好きだというタクシーの運ちゃんに「でも、監督は知らない」って言われちゃう監督とか?
ちなみに、まともに聞き取れたドイツ語のセリフは、この「オットマール・ヒッツフェルト」と「トゥートミアライド(Tut mir leid / お気の毒)」だけでした。
とほほ。
posted by どら at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月06日

運命の八月十五日

「日本のいちばん長い日」を見て来た。
本当は「野火」を見るつもりだったのだけど、内容から、自分は最後まで見続けることは出来ないのではないかと考え、断念。
で、こちらにしたと。
こちらはこちらで良かったよ。淡々とした感じが私好みで。
2時間半という長さが気にならない話だった。
もっとも、ラスト10分くらいでトイレに行きたくなっちゃって、エンドロールはそわそわしながら見てたけど。

話の内容は・・・ま、いっか。公式サイトでも見てください。小説(原作)もあるし。
私は原作も岡本喜八監督版も知らなかったんで、最初は総理大臣の鈴木貫太郎が主人公なんだと思ってました。
メインは陸軍大臣の阿南惟幾だったね。最後の自決シーンは痛そうだった…。
あと、クーデターを目論んだ将校達の顔と名前を覚えきれなくて、軽く混乱。
事前にパンフレットを買っときゃ良かったよ。

ポツダム宣言の受諾から玉音放送までの間、いかに降伏するのかってことで大臣や軍人達が揉めるわけだけど、みんな考えているのは天皇のことやら、軍人としてのプライドのことやらばかりで、一般市民の困窮や安否については二の次っぽいところに、不満を感じた。
天皇のことっていっても、昭和天皇ご自身のことを心配してるんじゃなくて、あくまでも天皇に象徴される国のメンツをどう守るかってことだしね。
まぁ、史実でも恐らくそうだったんだろうから、この不満は作品そのもののせいではないんだけど。
ポツダム宣言の受諾を先延ばしにしている間に長崎にも原爆を落とされて、その報告を受けた内閣書記官長の迫水が大きく溜息を吐いた場面なんて、こっちも溜息吐きそうになっちゃったよ。
もし、また戦争になったら、私ら庶民は二の次三の次にされちゃうんだろうなぁ。
あ〜、ヤだ、ヤだ。

鈴木貫太郎役の山崎努による、耳が遠くて本当に聞こえないのか、単に素っ惚けているのか、よく分からない演技とか(※褒めてます)、昭和天皇役の本木雅弘のハマりっぷりとか、役者さん目当てでも楽しいかも。
あ、陸軍大臣官邸の女中さんはグレーテルのかまどです。でも、お菓子は作りません。

ところで、映画が始まる前に、杉原千畝を主人公にした映画の宣伝があったけど、これは私達も積極的に難民を受け入れていきましょうというメッセージなんだろうか?
もし、そうなら見に行きたいね。
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2015年06月27日

Mad Max: Fury Road

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を見て来た。
実は、あまり私が好きな類の映画ではないんだけど、今は見に行って良かったなと思ってる。
面白かったわ。

この映画、色々と深読みできそうなんだけど、見たら疲れちゃったからやめとくわ。
ただ、フェミニズムがどうこうと話題になったというのは、ちょっと分かる気がする。
だって、自分の意思で戦っているのって女性陣だけなんだもの。
男性陣は、命令に従ってるだけか、暴力に酔っているかのどちらかでさ。
主人公のマックスはそれとは違うけど、殆ど状況に流されていただけだったし。
権力にあらがうのも女なら、希望の種を守り、未来に繋ぐのも女と、ポジティブな要素は徹底的に女性達に集めてる。
男性は、彼女達に協力するか、邪魔をするかのどちらか。
暴力が蔓延るディストピアもので、女性を主力にした話(それも自然に)って出来るもんなんだねぇ。

ところで、このお話って日本がモチーフなんだろうか?
ウォーボーイズは山海塾と特攻隊を足したような感じだし、死んだら英雄の館に祀られるとか、放射能で汚染されて故郷を失うとかさ。和太鼓みたいなのを叩いている人達もいたし。

まぁ、そこまで考えずに、フュリオサ大隊長カッコいい〜!!だけで良いような気がしないでもない。
なお、序盤で輸血袋だったマックスは終盤でも輸血袋やってました。
・・・・・って、これじゃ身も蓋もないか。
フュリオサを助けるためだったんだから、しょーがないんだよ。むしろ、GJだったんだよ!
なんのかんの言っても、良い人なマックスさんだったのでした。

なんか、ほのぼのした形で〆る。
どっとはらい。
posted by どら at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月05日

PRIDE

昨日書いた通り、今日も映画を見て来た。
タイトルは、『パレードへようこそ』
イギリスで制作された実話に基づいた作品で、レズビアンとゲイの若者達がストライキ中の炭鉱労働者達に協力するという内容だ。
こう書くと何だか堅くて暗そうな話の気がするけど、全体的にポジティブな空気が漂っていて、堅苦しさもない。
もちろん、明るいばかりではなく、しんみりする場面もあるけどね。

同性愛者とそうでない人の溝。
炭鉱労働者とそうでない人の溝。
同じグループ内でもレズビアンとゲイで、やっぱりちょっと溝がある。
「みんな同じ」ではなく「みんな違う」。でも、理解し合えるし、手を取り合える。
そんなことを謳っている映画だと、私は感じた。

ところで、どうして邦題は『パレードへようこそ』なんだろう?
原題の『PRIDE』のままで良かったんじゃないかな。
この点だけは不満だわ。
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2015年05月04日

Le Pavillon De La Reine

今日は、『王妃の館』を見て来た。
てっきりミステリーかと思ったら、変な小説家によるお悩み相談だったで御座る。
石橋蓮司や緒形直人が出ているのに、なぜ何も起こらないんだ!?
・・・って、原作は浅田次郎だったのね。先にチェックしておけば良かった。
私はおセンチな人情ものは苦手でして、どうしても見ている内に白けてしまうのです、はい。

でも、私の好みを抜きにしても2時間も掛けてやる話ではなかったんじゃないかと思うよ。
ダブルブッキングによるドタバタも、そこまでスリリングでもなければ面白くもなかったし、パリの観光案内としても中途半端だったしさ。
あと、中村倫也が女装してたんだけど中村獅童にしか見えなかった。
卑弥呼役、出来ると思う。

明日は、全く別の映画を見る予定。
こちらはハズレませんように。
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2015年02月07日

Mortdecai

『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』を見て来た。
感想は・・・・う〜ん、今いち。全体的に印象薄い。
主人公のチャーリーが、初めから終わりまで胡散臭かったのは良かったんだけどね。
でも、ちょっと喋り過ぎじゃね?
メインであったろう、名画の秘密もドタバタな展開に埋もれてしまった感じで、影が薄く感じた。
ただ、原題は『Mortdecai』で名画云々は謳ってないんで、これは邦題のミスリードなのかもしれない。
チャーリー・モルデカイと言う人物を紹介することが主題の映画だと言われれば、納得できるわ。

冒頭にも書いた通り今いちな映画だったけど、コメディなんで、まぁ、何も考えたくない時に見る分には丁度良いんじゃないかな?
スッゲェ暇でしょーがないって人は、是非どうぞ。
posted by どら at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月28日

GONE GIRL

『ゴーン・ガール』を見て来た。
ツィートした通り、ネタバレしちゃうと全く面白くなくなると思うんで、ここでも内容には触れないでおく。
気になった人は映画を見てね。
R15だから、16歳以上でないと見れないけど。
黒より黒いグレーな夫婦。
いやぁ、独身で良かったわぁ。

ところで、映画って上映前に他の作品のCMが入るじゃん?
それはまぁ、良いんだけど、なぜ宣伝してるのが『ドラゴンボール』と『仮面ライダー』なんだ?
客層違うだろ…。
お子さん連れて来てねってことなのかねぇ。
別室で『妖怪ウォッチ』や『ベイマックス』をやってるんだから、そこで宣伝すりゃ十分だと思うんだが。
もっとも、昼メロみたいな作品ばかり紹介されても困るけどね。
つか、宣伝いらねー(ぉ

『ゴーン・ガール』 の話に戻すと、結構な流血シーンがあるんで血を見るのが苦手な人にはオススメしない。
でも、話は面白いよ! 笑えないけどね。
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2014年07月20日

超参勤交代

『超高速!参勤交代』を見た。
どうして見る気になったのか、自分でもよく分からない。
本屋で原作の小説を見かけたことがあって、なんとなく面白そうだなぁと思いながらも手に取らなかったんだよね。
で、どこで知ったんだかすっかり忘れてしまったけど、どこかでこの映画を知って見てみたくなったと。
面白かったよ。ただ、単純明快なお話なんで、あまり語る要素がないんだよね・・。ははは。

えっと、どんなお話なのか簡単に紹介すると、現在の福島県いわき市にある小藩・湯長谷藩の藩主に五日以内に参勤交代をせよと無茶な命令が下ったため、藩主一同、猛スピードで参勤交代を果たすと言うもの。
・・・簡単すぎるか、これ。でも、本当にそういう話なんだよなぁ。
これに、いかにもな悪役が出て来たり(典型的陣内孝則)、隠密に狙われたり、クライマックスはチャンバラで最後は勧善懲悪な大団円と、いかにも時代劇らしい要素が詰め込まれてる。
結末は最初から見えてるんで、安心して笑ってスッキリ出来る映画でした。
西村雅彦の怨霊姿や褌姿を拝めるよ!

ところで、この映画のタイトルなんだけど、つい先程まで『超参勤交代』だと思ってました。
すみません。
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2014年03月29日

Frozen

『アナと雪の女王』を見て来た。
ディズニーの映画を見るって何年振りだろう? 幼い頃に母に連れられて見に行った時以来かも。
それくらいディズニー作品とは縁がないのに見に行ったのは、たまたまこの映画のPVをネットで見て映像の美しさに心惹かれたからだ。
いや、本当に綺麗だったよ。氷とか雪とか、透明感があって。
でも、氷を一番綺麗に感じたのは、PVに使われた氷のお城の場面ではなくて、冒頭の氷を切り出す場面だったりする。
で、あの場面で歌われていた歌が、オチになってたり。上手いなと思う。

滅多にディズニー作品は見ないんで先入観だけで判断しちゃって何だけど、王子様とお姫様によるハッピーエンドじゃないのは珍しいんじゃなかろうか?
確かに魔法を解く真実の愛の例としてトロール達が家族愛や兄弟愛も挙げてはいたけど、普通は恋人同士のそれを連想するよね。
実際、作中でもアナとクリストフはそう思い込んでたし。
これは意外で感心してしまった。
なお、アナとハンスとクリストフについては予想通りでした。
エルサは良い人出来るんかねぇ。トロール達に頼むと良いよ、多分。結婚願望全くなさそうだけど。

ところで、話の最初の方で、アナが数年振りにお城の門が開いたことを喜んで町中を歌いながら走り回る場面があるんだけど、ここで『サウンド・オブ・ミュージック』を連想してしまった。
別に京都に行く気はないけどね。
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2014年01月14日

Hannah Arendt

ハンナが度々煙草を吸っていたのは、空気を読めと強要する周囲への抵抗の証だったんだろうか?

この間の土曜日に「ハンナ・アーレント」を見て来た。
リンク先を見てもらえば分かるように、実話を映画化したものだ。話の筋は、ここでは省略するね。

映画を見ていて感じたのは、誰か/何かを理解しようとすることと許すことは別ものであることを他者に理解してもらうことの難しさと、この映画のテーマである<悪の凡庸さ>。
ハンナによると<悪の凡庸さ>は思考の停止がもたらすものなわけだが、アイヒマンだけでなく、彼を理解しようとしたハンナを批判した人々(世間の大半なわけだが)もまた<悪の凡庸さ>を証明していることになる。
彼らの批判はハンナの意見に対する反論ではなく、ヒステリックな拒絶反応でしかなかったからだ。
ハンナはなぜアイヒマンを理解しようとしたのかすら考えない。
悪逆非道の輩は問答無用でやっつけるのが当たり前だと思っているんだろう。見事に思考が停止している。

だが、ハンナを批判する人々の気持ちも分かる。
特に迫害を受けたユダヤ人達にとっては、アイヒマンも自分達と同じ人間なんだなんて絶対に思いたくないだろう。生理的に嫌過ぎる。
思うに、ナチの犯罪は、当時の人々にとって考察するには記憶が生々しすぎたのではないか?
もちろん、だからと言って自分と違う考えの人間を攻撃して良いと言いう理由にはならないが。
しかし、心の平安を乱す者は許せないと思うのは精神を安定させるための本能なわけで、その本能が思考を停止させる以上、誰もがアイヒマンのような巨悪をなす可能性があると言うことになる。
彼は思考を停止したからこそ、命令通りにユダヤ人をガス室に送り続けることが出来たわけだから。

この映画の結末はハッピーエンドではない。しかし、バッドエンドでもない。
ハンナは自説を曲げないし、それ故に友人と決別し、彼女に対するバッシングは終わらない。
私だったら、受け入れがたい事実であったとしても理解しようと考え続けることが出来るだろうか?
全く自信がないな。努力はするけどね。
posted by どら at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月02日

Gravity

余白の美を求めるのは間違いか?

「ゼロ・グラビティ」を見た。
これ、原題は「Gravity」なんだってね。どうしてゼロなんて付けたんだろう?
まぁ、そんな素朴な疑問はともかくとして、肝心の作品の方は可もなく不可もなく、何年か経ったら忘れてそうな感じだった。
※個人の意見です。

3Dの映画は見たことがなかったんでドキドキしてたんだけど、私の視力が悪いせいなのか大して立体的には見えず、自分も宇宙空間にいるような気分にはなれなかった。
ただ観客として、次々と危機に見回れる主人公が地上に生還するのを見てるだけ。
この映画についての前知識はなかったけど、出だしからオチは読めてたせいか、ハラハラすることも出来なくて。
「The Suicide Shop」の時といい、私の感性が鈍すぎるのかもしれない。

ああ、そうだ。BGMや効果音が全くなかったら、一つ一つの場面をもっと強烈に感じたかも。
音もなく飛来して全てを粉砕するデフリ、偶然に聞こえてきたラジオ放送、そしてマットの声。
特にマットの声は天啓だっただけに、もう少し際立たして欲しかった。
あの場面をあれ以上に盛り上げる必要はないけど、どうにもハプニングがてんこ盛り過ぎてね。
もっとハプニングを削るか、合間を少し伸ばすかして欲しかったよ。

ああ、そうか。私は、宇宙空間らしい静寂を感じさせて欲しかったんだ。
本当に何の音もしなかったなら、ひとり生き残ってしまった主人公の孤独や恐怖にもっと共感できたのに。
BGMも効果音も場を盛り上げるために使われているわけだけど、私に限って言えば、逆効果だった。残念。


しかし、映画館、ガラガラだったなぁ。
正月早々、映画を見に行く人はいないってことか。もちろん、作品にもよるんだろうけど。
そういや、幼稚園ぐらいの子供が結構いたっけ。東映漫画祭りみたいの、今もやってるのかな?
他の上映作品もタイトルぐらいは見とけば良かった。
posted by どら at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月12日

Le Magasin des Suicides

昨夜、仕事の帰りに映画を見てきた。
「スーサイドショップ」って言う、フランスのアニメ映画。
詳しい話は公式サイトで見てもらうとして、簡単に説明すると、自殺が頻発している町で自殺用品の専門店を経営している一家のもとに生まれた子供が前向きな人生観の持ち主で、一家の未来はさぁどうなる?って話。
原作があるそうなんだけど、私は読んだことがない。
結末は原作とは違うとのこと。原作だと件の男の子は死んでしまうらしい。
なんて救われないんだ! オチを変えてくれて良かったよ。

ただ、救われるオチになったからと言って面白いかと言うと、また別の話で。
私にとっては今いちだったな。
笑いどころが分からなかったせいかクライマックスを迎えても盛り上がれず、目の前の映像をただ見てるだけになってしまった。
自殺と言う非常に冗談にしにくい代物をどう笑いに昇華してくれるのか楽しみにしてたのに、それそのものについては淡々としたもので、クスリともできずにただ愚かな行為と言う印象だけが残ったのが原因か?
まぁ、賛美されたり、ウェットになったりするよりマシだが。
この映画、フランス人にとっては噴飯ものなのかなぁ。文化の違いはあるだろうね、確実に。

しかし、店主夫妻は人生に絶望してるはずなのに子供は三人も儲けてるし、主人公の姉は裸で踊るし、死にたくなるほど追い込まれてもエロは忘れないのか、フランス人は。
断言するよ、フランス人が繁殖しなくなった時が人類が滅亡する時だって。
本能って素晴らしい。
posted by どら at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月01日

ひこーき(Hiko-Ki)

今日は久し振りに映画を見た。
ドイツ映画の「Kirschblüten: HANAMI」という映画なんだけど、結構観客がいて驚いたわ。
上映場所が新宿だったことも大きいかもね。

簡単に話の筋を説明すると、旅先で突然妻のトゥルーディに先立たれたドイツ人男性のルディが、妻の面影を求めて、生前に彼女が行きたがっていた日本へやって来るというもの。
そこで、舞踏家であり路上生活者でもある少女と知り合って・・。
全編通して切ない映画でした。
初っ端から、医師が妻にルディが重病で(※本人に自覚はない)余命いくばくもないことを告げる場面だからね。
だからこそトゥルーディは夫と一緒に旅行に行くのだけど、バルト海のほとりのホテルに泊まった際に自分の方が先に逝っちゃって。そりゃ、ルディでなくても叫ぶよ。

主人公のルディは60代後半くらいの男性で、典型的なバイエルン人。すっごい頑固で日常が変化することが大嫌い。ここら辺、かなりステレオタイプ過ぎな気がするんだけど、まぁ、映画ってことで。それに、バイエルンに限らず、そういう人は確かにいるしね。
そんな人が、妻の死という大変化をどう受け止めて、自分なりに昇華するかというのがテーマだったように思う。
ん? 「昇華」の使い方を間違えてるか? まぁ、アホブログってことで・・。

映像が静かで美しいのがとても良かったのだけれど、最後にルディが富士山が映った湖のほとりで踊っているのを見て、私はちょっと引いてしまった。
だって、初老で恰幅の良いドイツ人男性が、顔に白粉を塗りたくって、濃紺の目張りをガシガシ入れて、紅を差した上に、女物の肌着の上に薄紅色の花柄の着物を着て踊ってるんだよ?
そんな人が湖岸で踊ってたら、2chにスレが立つって。
・・などと、即座に想像した私には、この映画を見る資格はなかったのかもしれない。

記事タイトルは、エンドロールに使われた曲から。
日本が舞台ということで、日本の曲がちょくちょく使われてました。
もしかしたら、生まれて初めてルディが乗った飛行機が、この日本行きの飛行機だったのかも。

しっかし、新宿というとやっぱり風俗に目が行くのね。
ルディが日本での拠点にしたのが息子が住んでる新宿だったのだけど、やることないし、どうしたら良いか分からないしで、ふらふらと新宿の街を彷徨って風俗店に入る場面があるのさ。
しっかりソープ嬢に体を洗ってもらってて、ちょっと笑ったわ。
あと、目黒川が出てたね。会社の近くなんで、こちらは軽く驚いたり。
映画のロケをしてるなんて知らなかったわ。

興味を持った方は、是非。
特に、桜と富士山に映し方が綺麗です。息子の秘蔵(?)のエロ漫画も出てくるよ(笑)
posted by どら at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月16日

おお、イラン 〜 Ei Iran 〜

昨日、『オフサイド・ガールズ』を見た。
粗筋はあちこちで紹介されてるから、ここでは省略。前評判通り、サッカーを見たい少女達と彼女達を見張る兵士達の掛け合いが面白かった。

サッカーを題材にイスラム社会を風刺した話なんだけど、女性の権利や自由を声高に叫ぶわけではなく、また、少女達=善、兵士達=悪というわけでもない。
むしろ、少女達に振り回される兵士達に同情したくなるほどだ。
兵士達だって任務がなければ、他の男性達と同じように少女達を見て見ぬ振りをしてやったに違いない。でも、スタジアムに女性を入れてはいけないという規則がある以上、規則通りに行動するしかないわけで。
兵士達が抱えるジレンマに少女達も気づいているから、何度も試合を見せてほしいと頼んだり、実況をお願いしたりする。
「イランに生まれたのが悪いのか」という少女達の一人の問いかけは、なかなかキツかった。

サッカーを見るために男装までする少女達だけど、でも、彼女達はイスラムの教えに背きたいわけではないと思う。また、社会を変えたいわけでもないだろう。
ただ、自分達が通り抜けられるだけの、ちょっとした穴ぼこがほしいだけなんじゃなかろうか?
ほんの少し、馬鹿馬鹿しい規則を改めれば、みんな満足できるのに。
そういうことを言ってる映画だと思った。
posted by どら at 14:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月02日

ワイルドで行こう

『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』を見た。

前評判で聞いていた通り、見事なまでのバカ映画だった。
R15だけあって(カザフスタンではR3らしい)、とにかくギャグが下品で、あざとく、無茶苦茶きつい。
特に差別ネタが多く、主人公がイスラム教徒という設定のせいか、ユダヤ人は悪魔扱いだった。
もし、脚本も手がけた主演のサシャ・バロン・コーエンがユダヤ人でなかったら大問題になってたかも。
それくらいドぎつい作品なのに、見た後に何となくすっきりした気分になってるのは、私にも本音と建前があるからなんだろうね。

ところで、映画を見終わった後にパンフレットを読んでいて気がついたのだけど、どうやら日本で公開するにあたって幾つかのシーンをカットしたようだ。
どうせならノーカット版を見たかったと思う反面、見ない方が幸せかもと思うのは、100%、この映画の内容のせい。
どこまで笑えるか、正直、私は自信ないわ。
posted by どら at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月15日

Good bye Lenin

ネタが無いので映画話。
しかも、また公開されたのが数年前という微妙に古い作品を選んだり。
だって最近、映画を見てないんだもの。

舞台は、ベルリンの壁が崩壊する直前の東ドイツ。
東ドイツを愛してやまないクリスティアーネは、反政府デモに息子のアレックスが参加しているのを目撃し、ショックで心臓発作を起こして倒れてしまう。
更に運が悪いことに、処置が遅れたせいで長期間にわたって意識を失うはめに。
彼女が目覚めた時には、ベルリンの壁が崩壊し、東ドイツは西ドイツに飲み込まれてしまっていた。
医師が家族に説明する。
クリスティアーネの意識が回復したのは奇跡に近く、余命はあと数ヶ月。しかも、また強いショックを受けたら命取りになると。
もし、彼女が東ドイツが消滅したことを知ったらどうなるか・・?
母親が倒れたのは自分のせいだと強い自責の念に駆られていたアレックスは、クリスティアーネのために、今までと変わらず、東ドイツは存続しているのだと嘘を吐き通すことにする。
最初の嘘が次の嘘を呼び、雪だるまのように大きくなっていった嘘が最後には・・・という、お話。

嘘を吐くのは悪いことなわけで、アレックスの姉やGFのララは反対する。
確かにクリスティアーネが健康を取り戻し、今後も長く生きていくなら真実を教えた方が絶対に良いわけなんだけど、でも余命数ヶ月となると、それが本当に正しいのかどうか。
最後は彼女の理想の世界で過ごさせてやりたいというアレックスの気持ちも分かる。
そのおかげで、アレックスは東ドイツ時代のピクルスの瓶を求めてゴミ箱を漁ったり、テレビ好きの母親のために友達から古いビデオを借りて、さも現在の番組のように見せかけたり、コカ・コーラの広告を目撃した母親に向かって、資本主義に疲れた人々が東ドイツに大量に移住してきたという、苦し紛れの言い訳をしたりするはめになってしまう。
本人は必死で大真面目なんだけど、傍から見るとちょっと笑えて、かなり切ない。

ところで、クリスティアーネが愛国者になった理由なんだけど、これはアレックス達が幼い頃、夫が家族を捨てて西ドイツに亡命してしまったことに起因する。
少なくとも、アレックス姉弟はそう思っている。
でも、事の真相は違っていて・・クリスティアーネもまた嘘を吐いていたことが、アレックスが父親と再会したことで判明する。
でも、これは責められないよなぁ。嘘で誤魔化さなきゃ、やってられないこともある。
そうアレックスも思ったからこそ、最後にそれは壮大な嘘を吐いたんだろう。
「嘘」と書いて「りそう」と読むような、ね。

クリスティアーネが息を引き取る少し前に、ララが真相を教えていると思われる場面がある。
でも、クリスティアーネは教えてもらう前から気づいていたんじゃないかな?
恐らくは、撤去されるレーニン像を見てしまった時に。

嘘を吐くのは悪いこと。
でも、そこに大切な人が絡んでくると、ちょっと事情が変わってくる。
良いか悪いかではなく、幸せか否かで考えれば、間違いなく、クリスティアーネは幸せだったのだと思う。

なお、今回のブログのタイトルは映画の題名でもあり、作中で使われた曲の題名でもある。
この曲を背景に、クリスティアーネはヘリコプターで運ばれて行くレーニン像を目撃する。
レーニン像の手が、ちょうどクリスティアーネに向けて伸ばしているように見えてね。
この場面だけでも見ることをお勧めしますわ。
posted by どら at 18:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月10日

Voyage to AVALON

最近、また頻繁に『Avalon』のサントラを聴くようになった。
もう5年も前の作品で、映像や話が難解だということは覚えていても、台詞や俳優さん達の名前などはすっかり忘れているのだが、音楽は好きで未だに聴いてるんだよね。
歌詞は、さっぱり聴き取れないけど。

確か、近未来の欧州の町(ポーランド?)で、無気力で疲れ切ったような人達がオンラインゲームだけを楽しみに生きているというような設定だった。
主人公のアッシュは、ゲームの世界では腕利きのファイターとして知られる女性で、以前に所属していたパーティが壊滅してからは誰とも組もうとしない。
それがある時、そのゲームには"AVALON"なる特別ステージがあって、どうもそこに昔のパーティの仲間が行ったらしいという情報がビショップなる男性プレイヤーからもたらされて・・教えたのは、ビショップじゃなくて、やはりパーティを組んでた斥候役のプレイヤーだったかも。
ビショップが"AVALON"への導き役だったのは、覚えてるんだけど。

結局、"AVALON"というのは何なのか、そこに行った人達がどうして現実世界では廃人となってしまったのかは分からないまま映画は終わってしまう。
一応、アッシュも"AVALON"へ行くんだけど、そこはごく普通の街で、なぜか黒のドレスに着替えた(着替えるように指示があったからなんだけど)アッシュが街角で銃を構える場面でお終いになるから。

話の大筋は何とか覚えてるけど、やっぱり未だに何を意味してる話なのか分からない。
ゲームばかりやってると廃人になりますよってこと?
それとも、胡蝶の夢みたいなもんかね。

全体的に暗い雰囲気に包まれた話で、映像も煙ったような灰色が目立ったように思う。
ゲームの世界で撃たれてHPがなくなると、戦車にしろプレイヤーにしろ、途端に3Dから2Dに変わってしまうのが面白かった。
もしDVDがあるならば、見てみるのも良いかと。
エンディングの「Log in」がカッコ良くて、特にお勧めです。
posted by どら at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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